KanaOhtsuki * One day One picture

■大槻香奈の日記■

kuh "MUSiK Anatomia" 少年の絵

kuhcd.jpg


…というわけで(どんなわけで?)kuhの皆さんからサインをいただきました。嬉しい!!!
昨日は大阪のclub vijonでのライブに行ってまいりました。
kuhのライブは二度目でしたが本当に素敵で心洗われました。。
私はやはり、個人的な思い出も相まって、アルバムの2曲目にある"Walkabout"が特に好きだったりします。
ジャケットの少年の絵も、クボタさんと話し合いながらこの曲をイメージして描きました。

kuhの2ndアルバム"MUSiK Anatomia"まだの方はぜひ。↓
【MUSiK Anatomia】


私は普段、主に16歳ぐらいの少女の絵を描いているのですが、今回初の少年の絵という事で、
まずどこからイメージを作ろうかな…と色々考えていました。
最初に依頼されたのは、強い眼をした10~12歳ぐらいの少年が正面を向いている、というもの。
外見のイメージはパッと浮かんだのですが、私は男性ではないので、
いつも描いているような少女と同じぐらいの内面的な強さを持って少年を描く事が出来るのかな…と
若干ビクビクしながら描き進めていました。


…とそんな中で、ふと、自分がそれぐらいの歳の頃どんな男の子の知り合いがいたんだっけ…と
ぼんやり考えていました。
そしてある一人の子の存在を思い出しました。

ある日突然転校してきた、勉強もスポーツも出来て明るいんだけど、何となく掴みどころのない、背が低くて色白で、
得体の知れない雰囲気を持った男の子でした。
何と表現すればいいのか、本心と感情表現が少しだけちぐはぐな印象があって、
(笑っている時は何となく悲しそうだったり)
私は特別仲が良かった訳ではないのだけど、何となくそれを気にしていました。
全然関係ないけど、何故か今でも、参観日に一度だけ見たその子のお母さんの顔を妙に覚えています。
2人暮らしだと噂で聞いたりしたせいかもしれないけれど。

自分の隣の席になった時、頭が良いんだか変人なのか、授業中にしょっちゅう訳のわからないマニアックな話を聞かされたりしていました。
話の半分以上がよく分からなかったので、私はただ頷くしかなかったのですが、
でも何となくその子が見ている世界は自分とどこか近い気がして、話をしていると
意味不明な話でも楽しくてホッとしていたような気がします。
ひとつだけ印象に残っている話があって、それはこういうものでした。

「鉛筆の尻に付けるピーマンが家の中に入ってて、それがだいたいこれぐらいの(手に収まる)大きさなわけ」

何のことを言っているのか全く分からなかったのですが「へぇー…」と返した記憶があります。
そもそも何で彼を思い出したかといえば、ちょっと前に部屋を大掃除して、とある物が出てきたからなのですが。

↓コレ

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ちょうど手のひらに小さく収まるぐらいの家。

私の転校が決まって、クラスのみんなとお別れをする日に、
彼はこれを無言で私の机にぽいっと置いて去っていったのです。
突然のことで意味が分からず、何か物をくれるイメージも全く無かったので、
私はただただ「?」という反応しか出来ませんでした。
その時は、とりあえずもらっといていいのかな…?的な感じで家に持って帰りました。
でもしばらくして、漠然と「何だかとてもいいものを貰った気がする」と思いました。

そして何年後かに、この家の屋根の部分がパカッと取れる事を知りました。
なんとこれは小物入れだったのです。
家の中にはピーマンの形をした、鉛筆のお尻にくっつけるタイプの消しゴムが入っていました。
そして、あー彼が前に私に話してくれていたのはこれの事だったのかと、ずいぶん後になってから気付いたのです。
話をしてくれた時は、本当に何のことを言っているのか理解出来なかったし、
理解出来たとしてもまさかそれを自分にくれるとは思っていなかったので、すぐに気付くことができなかったのです。

この小物入れは買ったものなのか自分の家に元々あったものなのか、何か思い出のあるものなのか
そういう訳でもないのか…
何も分からぬままですが、分からなくてもいいのかもな、と思ったりしました。
だけど、結局お礼も何も言えなかった事を、転校してから子供ながらに後悔しました。
彼にとって何か大事なものではなかったとしても、貰えた事が何だかじわじわと嬉しかったから、それを伝えたかったのでした。
私が転校してからしばらくして、彼もまたどこかへ転校してしまったと風の噂で聞いて、
「ああそっか」と思いました。


この話にオチは無いし、特別な思い出って感じでもなくただそういう事があっただけなのですが、
その事を思い出して、もう一度kuhを聴いたら「これだ…!」と、何だかすごく良い絵が描けるような気がしたのです。
あの男の子は何を考えているのか分からなかったけど、ただ何となくいつも、漠然と孤独であって、
それは重苦しいものでなくごく普通に、当たり前のものとして抱えているように私には見えていました。
すこし存在を気にしていたのは、何となく心配していたからなのか、自分の孤独感と重ねて見ていたせいなのか、
はっきりとは分かりません。
だけどkuhの音楽を聴いていると、生きていくうえでのとあるひとつの答えを見つけた、
清々しい強さを持った少年の姿が描かれている気がして、私の思い出の中にいる男の子も、
きっとこんな感じで生きていくのかもしれないなと思うと、何だかほっとしたのです。
そこからは、筆がどんどん進みました。

思い返してみれば、絵を描こうとする時いつも思い出すのは、日常の何でもない出来事だったりするなあと。
kuhのMUSiK Anatomiaも、きっとそんな、何かの思い出に支えられて形になったもののような気がしました。
だからキラキラして聴こえるのかもしれない。


いつもの少女の絵だって、コンセプトは色々あるにしろ、根っこの部分では自分の子供時代の
些細な思い出が元になっていたりするわけで。
それで絵が描けるって事は、なんだかいいなと思ったのでした。


ちなみにその男の子とこのジャケットの少年の顔は全然似ていません。
なんだけど、内面から出る表情みたいなものはすごく似ているような気がします。
思い出補正かかっているのでそんな気がするだけですが…
でもあの時の男の子にこっそり感謝の気持ちでいます。
この絵を描けて、ほんとに良かったなと思います。



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いまkuhは全国ツアー中("kuh MUSiK Anatomia TOUR 2013")という事でグッズも色々あったり。
これは買うっきゃないです。
Tシャツやタオル、ポストカードセットもあるんですが良い感じでオススメです。

ツアーの詳細はこちらから↓
http://captainhouse.com/musik_anatomia/

あと、私の描いた少年の絵も、kuhと一緒に全国を旅しております。
自分の原画がこうして全国を回るなんて、今までに無かった事なのでとても嬉しいです。
ライブと共に絵も楽しんで頂けましたら幸いです。
(ちなみに写真撮って頂いても大丈夫です…!)


改めまして、今回ジャケットを描かせて頂きましたkuhの皆様には心より感謝の気持ちでいっぱいです。
素敵な作品とコラボレーションさせて頂いて本当に有難うございました。

皆様ぜひライブにも行ってみてください^^***

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作家 : 大槻 香奈

Author:作家 : 大槻 香奈
美術作家/イラストレーター
お問い合わせは以下の大槻香奈Webサイトよりお願い致します。

http://ohtsuki.rillfu.com

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