KanaOhtsuki * One day One picture

■大槻香奈の日記■

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2009年いま、イラストレーションについて思うこと。

いま、私自身イラストレーションをとても学びたいと思っています。
何とか自分で学ぼうと思っているところです。

そこで、自分にとってのイラストレーションとはいったい何なのか。
一般論から外れる事もあるかもしれませんが、今一度自分のために、
自分のアーティスト・作家という肩書きは今回置いておいて、
イラストレーションというものについてのみ、考えてみたいと思っています。

なぜ、一度過去にイラストレーターを辞めてアーティスト活動をしている私が
いまイラストレーションについてあえて書きたいと思ったのか。

その理由はこうだ。


まず、これからの時代が「絵画」を必要としにくくなるであろうという事で、
そのかわりに、本来の正しい意味での「イラストレーション」がこの先求められていくであろうという事を
思っているからです。

これにはいくつかの理由がありますが、絵画を必要としなくなるという事に関していえば、
資本主義である今の社会の上では、世界恐慌などを含めさまざまな理由により、職業として成立しにくい、
という視点で見ていただけたら有難いです。

お金の無い状況で、付加価値のみで売れるアート作品がやがて無くなる事は想像できます。
というより、既にそういう時代になっているとも言えます。

私はアーティスト活動をしていなければきっと生きた心地がしません。
そんな自分を情けないと思いつつも、それほど私にとっての絵は生きていくうえで重要な事なのですが、
いくらそうであっても、それを生業としてたくさんのお金を稼げるのかと言えばそれはまた別の話です。
アートを生業とする作家にとっては、これから辛い時代がやってくるでしょう。

何年後かにはこの金融恐慌は回復するという説がありますが、
今回はあえてその事は横に置いておいて、まずは今の時代を受け止めて考えてみたいと思います。
なぜならこの金融恐慌は逆に考えれば、ものづくりをする人達にとって、
本当に良いものを創りあげていくチャンス、だと私は考えているからです。



本題に入っていく前に、
ここではあえて「イラスト」と「イラストレーション」を全く別のものとして扱いたいと思います。

まず、これらは一般常識ではなく私自身が身勝手に考えたものである事をお許しいただきたい。
ここから話を進めていくうえで、ここで言うこの二つは似て非なるものであるという事を
まずは理解していただきたく思います。

ここで言う「イラスト」とは、
趣味絵のほとんどを指し、伝達の手段としても絵画としてもまず成立しないものを指し、
らくがきや、既存の漫画を真似た絵などがその例で、
絵によってある物事をわかりやすく「伝える」という目的を欠いたものを指します。

一方、ここで言う「イラストレーション」とは。
wikiで非常に明確でわかりやすい説明がなされていたので、ここに引用します。↓

・・・・・・・・・・

イラストレーションは情報を伝達する媒体のひとつである。
イラストレーションは目的に沿って描かれる絵であり、情報の図解という性格をもつ。
それはマスメディアを通じて社会の中で機能することを大前提としている絵であり、
グラフィックデザインの中の分野である。

・・・・・・・・・・

この説明はイラストレーション本来の意味でありますが、
現代ではその意味の幅は広くなり、もしくは違う意味になったと言ってもいいのかもしれないのですが、
限りなくアートに近いものがイラストレーションとして使用される事も多々あるゆえに、
アートなのかイラストレーションなのか、その境界線は近年ますます曖昧になってきていると思います。
現在刊行されている雑誌「illustration(イラストレーション)」をご覧になられた事がある方でしたら
その言葉の持つ意味の幅広さを理解して頂けるでしょう。
しかしここではあくまでも、本来の意味に限りなく寄り添って「イラストレーション」
という言葉を使用したく思いますので、
ひとつよろしくお願いいたします。



ところで、最近ふと気になる事がある。

近年、イラストレーションの枠が広がってきたのをいいことに、
「絵が描ける=イラストレーター」と名乗る人達が増えている事だ。

もちろん、誰に認められるでもなく自分で「イラストレーターです」と名乗っていかない事には
イラストレーターにはなれないし、仕事ももちろん来ませんが、
今日のイラストレーションを学んでいる学生達を見ていて、
また話をしていてとてもハラハラするのは、
好きな絵をたくさん描いて練習して技術が上達してさえいれば、
そして個性的であればイラストレーターになれると
勘違いしているのではないかと見受けられる発言の多さである。

「個性」という言葉に甘えていやしないか、と思う事も非常に多い。
「イラストレーション」のつもりが「イラスト」になってしまっている事の多さに気付くべきであるのに。



イラストレーションを学ぶ学生やそれを取り扱う学校のやっている事を見ていると、
私の知る範囲の中でいえばとてもじゃないが、
同じ時代を生きている同士だとは思えない事が多い。
今社会の中で起きている事が、自分とは全く無関係であってはならないのは皆もわかっている筈だと思うのだが。
こんな時代だからこそ明るく自由に描いていればいい、それは結構なことだ。
しかし、今後イラストレーターになりたいと考えているのならば、
イラストレーションのあり方として考えなければならない可能性は、
あくまでも自分の描いたものが今の社会にどういう形で関わっていくかという事なのだ。

それをしていなければ、イラストレーションを扱う専門的な学校と絵画教室との違いとは一体何なのだろうかと疑いたくなる。
専門的な学校は義務教育ではない、それゆえ自由な表現ばかりを尊重していては、
イラストレーションが本来持つ社会と密接に関わる力を生徒達が理解し、
また社会に出てからの自分のイラストレーションのあり方を学生のうちにリアリティーを持って考える事は、
生徒達自身が積極的に外に出て動き出さない限りほぼ不可能だろう。

学校とはそもそもそういうものかもしれませんが、高い授業料を払っているのに、
いつまでもそういう場所であるというのは寂しいことです。

少し話がずれるかもしれませんが、今の義務教育が昔と比べて
わかりやすい実益を生む事に直結するような安易な教育をしているだけに、
何が本当は正しいのかを考える力の不足であるとか、
また若者がしっかりとした自立も期待し辛くなっているこの状況の中で、
また絵というジャンルだけで食べていく事が難しい時代の中で、
学生のうちに、イラストレーションではなくイラストを描き続けるという事は一体どういう事なのか、
という事を、いま一度考える必要があるのではないかと思っています。

わたしもそんな教育を受けてきた若者のひとりなので、大きな事は言えないのですが、
ファッション関係の方やデザイン業界に関わっている方たちのなかで、
「社会の上にデザインがあるのではない、デザインが社会を作っているといっても過言ではない」
とおっしゃっていた方がおられたぐらい、イラストレーションもひとつのデザインで、
今の社会を創っていくうえで重要な役割を果たすものだと思うのです。

それでも、生徒達が自分の絵が「イラストレーション」でなく「イラスト」であって良いと思って
いるのであれば、残念だけどそれでいいのかもしれないとも思う。
しかしそうであると、この先かなり仕事になりにくいという事、
また仕事に出来たとしても発展しにくいという事を知っておく必要がありそうです。
抜群の才能をお持ちの方ならその心配はないかもしれないのだけど。
個性は売れていくために必要かもしれませんが、
個性的であっても仕事にならないものと、仕事になるものの差はいったい何なのかを考えれば、
一番大事なのは自ずと分かる事だと思います。


いまの時代背景を見ていると、イラストレーションはまさに原点に戻って、
現代的な広い意味あいでなく、本来のイラストレーションを追求すべき時に来ていると思うのですが、
しっかりとしたイラストレーションを学んでいない学生がいるという、この実態はいかがなものか。
これは非常に残念な事だと思います。
今でこそ、イラストレーションの本当の出番だと感じているというのに。

生徒達が自分のやり方で絵を勉強するのは良いとしても、
本来のイラストレーションの教育を受けた上でそうしているのか、
それとも全く知らずにそうしているのか、話していてたまに疑問符がたつ。



アートが売れないどんな不況の中でも、何か目的を「伝える」為の絵、
すなわちイラストレーションはいつの時代になっても必要でしょう。
イラストレーションが何かの目印になったり、
あるいは分からないことを分かりやすく説明するものであったり、
言葉が通じない国の者同士の会話を絵が助けてくれる事もあるでしょう。
そして今は、幸いそれをする事で「仕事」になります。
不況ですが、それで収入を得る事が出来、職業としてちゃんと成立する時代です。



現在、イラストレーションとは、
どこか企業や人から絵を依頼されて、相手に気に入っていただく事を目的として制作するものであると、
一般的に多くの方がそういう解釈をしておられます。
私が今までやってきた書籍の挿画やCDジャケットも、その例の一部として挙げられますが、
そういった事だけがイラストレーションの役割であるとは私は思わないのです。

今気が付かなければならないであろうことは、
イラストレーターはただ人に依頼されて描くというものではなく、
「自分で企画をプロデュースする能力があれば、それ以上に大きな可能性を持っている」
という事だと思います。
いまイラストレーターとして現にお仕事されている方は除いて、
これからまさにイラストレーターになろうとしている学生達は、
特にそういった事を考えていかねばならないと私は思うのですが、どうでしょう。

好きな絵を好きなときに描いてお仕事にされている方も現にいらっしゃるかもしれませんが、
しかしそれはほんの一握りで、それ以外はやはりそういう訳にはいかないでしょう。
現に私自身がそうであるから、そう考えるのですが。



ここまで人の事ばかり書いているように見えるかもしれませんが、
全て、今の私自身のイラストレーションを創るうえでの永遠の課題なのです。
自分に言い聞かせるためにも、あえてここに書かせて頂く事にしました。


自分なりに考えたところ、イラストレーションを学ぶということは、
絵を描く技術の前にまず知識が必要で、それは絵や画材についての知識だけじゃなく、
今の政治の事だったり過去の日本や世界の歴史だったりすると思います。
なぜなら過去を知る事から、現代に必要なものに気付くことができると考えるからです。
ひととおり絵の技法を学べば、あとは勉強に力を注いだほうが良いのかもしれないとさえ、思います。
意識が高ければ、技術は自然とそれに追いつこうとして成長するでしょう。


絵を職業にしようとしている人達の中には、
誰よりも売れたい、誰々の作家に勝ちたい、という考え方をする人がたまにいらっしゃいますが、
わたし個人的には、これからの時代はライバル視をしあうよりも、
もっとお互いが話し合い、そして絵という枠をこえてこれからの事について一緒に考えていく事が
必要となってくるのではと思っています。
学校側は授業の一環としてディスカッションするのもいいでしょう。
絵の技法を学ぶのに時間が精一杯で、実際的な配慮を追いかけて学生時代が過ぎていくのは寂しいことです。
それはどんなにその時忙しくても、後に残るものが非常に少ないからです。

本質的な事にちゃんと目を向けてしっかりと時代を見つめてさえいれば、
個性を追求する事をせずとも自ずと自分の立ち位置が見え、
自分が今一番何をすべきか見えてくると思うのです。
そして、自分がイラストレーションで何をすべきかも。

皆でそういう風に考えていると、大変だけれどもきっと私達の未来は明るいと
思えてくるとおもいます。

競争社会、勝ち負けの世界ではなくて、
これから本当の意味での「努力」が報われる時代になっていくとさえ、思うのです。
厳しい時代ですが、本来の「イラストレーション」を真面目に追求してきた人達にとっては好機だと思います。
本当の意味で絵で「伝える」事をしてきた人達が認められ、
今までの努力がこの先きっと報われていくような気が、私はしています。

個人的な話ですが、努力と聞けば私は「忍耐」や「継続」をまず思い浮かべてしまいますが、
それに加え「正しい思考」と「勇気」と「信念」も備わっていなければと自分に言い聞かせていきたいところです。

そして絵を描いていく上で、これはイラストレーションでもアート作品をつくるにしても共通して大事だと思うのは、
何度も言うように、今の時代を知り受け止める事だと考えます。
時代は絶えず動いており、価値観も自分自身も常に目まぐるしく動いている状態の中で「初志貫徹」がいつでも大事とは言い切れない。
臨機応変に対応していかねばならない。
何が起こるかわからない時代だからこそ、個性が大事!とか、プライドを持て!という単純なものではなくて、
目的を達成する事にのみ目を向けて行動できる精神的な「強さ」と、
何よりも万が一の事があった時に動じない「備え」が今必要だと思います。

何でもしっかりとした「備え」があれば、時代の浮き沈みに動じる事無く、
自分がうまくいかない事を政治や社会や時代のせいにする事は少なくなるでしょう。
そこで私はいまアーティスト活動だけに集中するのではなく、
時代に直接希望を見い出せるイラストレーションにも少し目を向けたいと思った次第なのです。

政治や社会や時代の被害者になるのは、みんな嫌だと思っている事でしょう。
しかしそれならば、日本の歴史問題、社会や政治についてきちんとした知識を身につけ、
積極的に参加していく必要があるのではないでしょうか。
もしそれらに関して無関心でありながら被害者意識を持っているのであれば、
政治に参加していないという事=肯定しているという事、になります。

勉強は一人でも出来る事ですが、欲を言うならば、
そういった事についてや、きちんとそういった事に参加していくという意識を持っての
しっかりとした教育を学生のうちにもっと受けたかったと、今になってそう思います。
個人的には、絵を描いていくうえでも、非常に大切になってくる事であるからです。



最近になってようやく、イラストレーションは人に役立つ可能性のある、
とても素晴らしいものだという事に私自身気付くことが出来て良かったと思っています。
個人的な話ですが、今まで「イラストレーション」に苦手意識を持っていたのは、
それは世の中に「イラスト」が多く、それさえもイラストレーションと呼ばれていたからかもしれません。
しっかりとした目的を持たない、時代にふさわしくないイラストを依頼されても
お受けするのは難しいなと感じてしまうのは、今から思えばもしかしたら当たり前の事だったのかもしれません。
それとは別に、単に個人的なコンセプトと合わなかったから、という理由でお仕事をお断りした場合もありますが。

アーティスト活動がベースになるとは思いますが、
イラストレーションのアイディアも既にいくつか出てきましたので、
何とか少しずつ形にしていきたいところです。


最後に、
長々と主観的見解を述べて若干の申し訳なさもありつつ、しかし

「イラストレーションは今の時代の希望のひとつになり得る」

と感じていますので、今の時代を乗り切っていくために、
必要な時に議論したりまた人と手を取り合ったりして、
皆さんと一緒にコミニュケーションの中からものを生み出していければ幸いと思います。




イラストレーターとして、アーティスト名とは違う名前でこっそりデビューしたら面白いだろうなあと思う
今日この頃。笑

このブログでは今までと変わらず、作家として、
イラストレーションでなく自分の自由な表現として作品等載せていきますが、
いつかまたひっそりと「イラストレーター」として別に活動したときは、
どうぞよろしくお願いいたします。

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作家 : 大槻 香奈

Author:作家 : 大槻 香奈
美術作家/イラストレーター
お問い合わせは以下の大槻香奈Webサイトよりお願い致します。

http://ohtsuki.rillfu.com

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