KanaOhtsuki * One day One picture

■大槻香奈の日記■

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60 years ago-05

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探し物をしに海へゆく。
どこに置いてきた、母の子宮。

最後に目にしたとき何色ともいえない丸いものがたくさんくっついていた。
まるでさびしい想いをしてしがみつくかのように、それはしっかりと食い込んでいた。
さびしすぎて離れられない、母を殺そうとした丸いものは、
僕の生まれてきた部屋と共にどこかへ消えた。

なぜあの時その後の行く先を聞かなかったのだろう。

答えが何であれ、大切なことは聞きたくなかったのかもしれない。
だけどそれが、僕が生まれてきて一番の後悔するべき事だったように思う。
僕は今までずっとそれを気にすることが無かった。

内側に静かな冷たさを押し付けられて僕は、どうしようもない優しさだけを生み続けている。

強さも無しに、たったひとりで生きるとはそういうことか。



きょうはいったい何の日か知ってる?

僕は母に届けるべきものがある。

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60 years ago-04

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あなたがわるいこでも、わたしがあなたをゆるしてあげるわ。

むかいかぜがつよすぎて、こころがおれてしまいそうだ。
どうしてしぬまでわたしじゃなきゃいけないの。

ほねにひびいたことばと、てばなしてきたたくさんのてを
しぬまでずっとひきずって、そしてわたしはすべてになった。

みんないいこ。みんないいこよ。
みんなみんなしっている。

すぎさったことはそっとしておいてね。

わたしはいつか、あなたのおかあさんになる。

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60 years ago-03

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ただかなしいのは、指がうまく曲がらなくなったこと。
たったそれだけで悲しくて涙が止まりません。
いつもならできることができません。
小さな不幸だなんていわないで。
わたしにとっては大きな大きな悲しみなのです。
悲しすぎて食卓にいるハエでさえも殺せません。
ハエたたきは家に持ってます。
でも殺せません。
もしハエたたきによってハエの足がいくつか取れてしまったらもう、
それはそれは悲しくてわたしは自分の指をながめて心が痛むはずだから。
いまわたしの足もとにいるクモも殺せません。
足がおおきいので、そこばかりに目がいってしまって殺せません。
なんでいつも殺せたのかしら。
自分がかわいそうになると何も出来ないんだわ。
かわいそうじゃないときは何でも出来たのに。
ちがうか。
何でも出来てしまうのは知らないからだ。
知ってて何でも出来る人は強いひとだ。
知らなくて何でも出来る人はきっと馬鹿で、
知ってて何も出来ない人は弱虫で、
知らなくて何も出来ない人はただの怠け者なんじゃないかしら。
そういうことにしておいて、今日はもう寝ることにしましょう。
だけど今ここにいるハエは殺してもいいよね?駄目ですか?
あんまりハエと関係の無い話だった気がするな。
指はいつになったらなおるんだろう。

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60 years ago-02

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あなたが世界のすべてになるその前に

あたりまえのことを口にしなければならない悲しさよ。

あたりまえのことは

たいていのことは言いたくないのに。

消えたものがすべてになったような気がするのは

気のせいだと海が言う。

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60 years ago-01

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60年前の墓さがし。

流れ行くのは砂ばかり、連れ行くのは風の音。

遠くにひとりの影を見つけた。

たださがすのは、私たちの墓。

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作家 : 大槻 香奈

Author:作家 : 大槻 香奈
美術作家/イラストレーター
お問い合わせは以下の大槻香奈Webサイトよりお願い致します。

http://ohtsuki.rillfu.com

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